純氷の作り方2.製氷

純氷の作り方2.製氷

2. 製氷

第二工程は製氷です。 工場では大きな水槽(50mプールのような)に「ブライン」という溶液を入れます。 これは、水に塩化カルシウムを混ぜたもので、その濃度によって冷やす時の温度を調節できます。 製氷工場では、-10℃位まで冷却します。

このブラインの中にステンレス製のアイス缶を沈め、缶の中に塩素を取り除いた水を注入します。 ブラインの温度がアイス缶を通して水に伝わり、氷になっていきます。

余談ですが、日本の製氷技術は明治時代にイギリスから導入されたので、アイス缶の大きさも300ポンド(135kg、36貫目)になっています。(JIS規格)

水は実に不思議な性質を持っています。
液体の時の水はあらゆる物質をその中に溶かし込むことができるのですが(水溶性という言葉があるくらい)、固体になるときにはあらゆる含有物を排除し、純粋な水だけが氷になろうとします。

水の状態では、H2Oの分子は隙間だらけで、その中に色々なものを収納してしまいます。しかし、0度以下になり、氷になるときには、それらのものを全て吐き出し、H2Oだけが一定方向に整列して並ぼうとします。 その結晶格子の中には何も入れないのです。
こうしてできた氷は、透明で大変きれいな氷です。 その現象は、しばしば自然の中でも、見ることができます。

例えば、冬の朝、池に張った薄い氷は、池の水がどんなに汚れていても透明な氷になります。 また霜柱も透明で、土の中でできたものとは思えません。 夏のゴルフ場などでペットボトルごと凍らせたお茶もそうです。 最初に溶けたお茶を飲むととても薄味で、中心部のお茶はとても濃い味になっています。 これも最初は周囲の水の分子だけが氷になり、お茶の成分は中心部へと追いやられ、どこにも行けずにそのまま凍りついたためです。 実は良い氷を作るにはこの性質をうまく利用することがポイントです。

先程、ブラインの温度を-10℃に冷却すると言いました。
これ以下に温度を下げ、冷却速度を早くすると、この素晴らしい水の性質は、発揮されません。 水中の不純物(塩素、ミネラル成分、空気etc)を排出するために必要な時間より早く周囲の水が凍ってしまい、結局は不純物を氷の中に閉じ込めてしまうからです。

-10℃で凍らせると135kgの水が氷になるには48時間以上かかります。
氷結速度は1時間に2~3mmです。 これを-5℃で凍らせると160時間もかかり、良い氷はできますが、供給不足になります。
家庭の冷蔵庫では約-20℃、自動製氷機では-25℃で製氷しています。 不純物の排出よりも生産性を重視しています。
製氷業界の長年の歴史から得られた結論が、-10℃なのです。 バランスの妙だと思いませんか。

 

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