純氷の作り方3.水と空気

純氷の作り方3.水と空気

3. 水の中の気泡

これまでは、塩素などの不純物の除去を考えてきました。 しかし、いろいろな不純物の中で、最大の難敵は、実は空気(気泡)です。 水の中には、たくさんの空気が溶け込んでいます。 魚が水の中で呼吸できるのも、空気が溶け込んでいるからです。 また、鍋に水を入れ、お湯を沸かすと底から泡が出てくるのが見えます。これは、水蒸気(気体になった水)です。 沸騰した鍋を見ていると、本当にたくさんの気泡が水の中にあることがわかります。

水が氷になるときも、気泡がでてきます。 つまり、徐々に水が氷になると、水の量が減ってきます。 すると最初に入っていた空気は、全てが水の中に溶けていられなくなります。 水が少なくなるにつれて、空気は泡となってでてくるのです。 お湯を沸かす際に出てくる泡は、自然と大気に放出されますが、氷になるときに出てくる泡は、水と氷の境目にくっつきます。 この泡(空気)が実に厄介者なんです。 この泡をうまく処理しないと、氷の中に閉じ込められます。 この部分は、真っ白になり、氷は透明感が全くなくなります。

空気以外の不純物は、ろ過装置などでほとんど除去できますが、空気はどうしても水に溶け込んでいます。 水のときは目につかず透き通っていても、氷にするときに空気は分離し、白くなってしまうのです。

純氷の製氷過程では、水が氷になるのを待っているだけではありません。 良い氷を作るために、手を抜くことはできないのです。

この泡を丁寧に取り除くことが、製氷工程の第2の重要ポイントです。 -10℃でゆっくり凍らせれば空気も不純物も排出してくれるのですが、空気の逃げ道がないと、結局、空気は氷の中に封じ込められてしまいます。 この意味で、家庭用冷蔵庫の製氷皿で作る氷は、透明に作ることは不可能なのです。 自動製氷機はこの点、うまく不純物を外へ排出する構造になっているのです。 しかし、-25℃で製氷しているため、不純物を排出する水の機能が発揮されません。

製氷工場では、-10℃でゆっくり凍らせながら、アイス缶にパイプを入れ、大量の空気を送り込んでいます。 こうすることで、中の水を勢い良く撹拌、対流させています。(これをエアレーションといいます) 氷と水の境目に排出された空気を、この対流の勢いではがし取るのです。 また、アイス缶表面の水は、エアレーションの対流のために、いつも波打ち、氷になることはありません。 そこから、はがし取られた空気は、大気に放出できます。 透明な氷を作るには、放出される空気の逃げ道があることがポイントです。

また、このときに氷の純度を、さらに上げる作業を行います。 アイス缶の中は、底部・側面から成長する氷と、中心部の水があります。 製氷に用いる原水は、徹底的に不純物を除去していますが、それでも完全に不純物がないとは言い切れません。 そこで、わずかにでも残る不純物を、氷にさせないために、「水とり工程」を行います。 氷は、純粋なH2Oから氷になります。 そこで途中で水を吸い上げて廃棄し、代わりに新しい原水を入れて、再び製氷します。 これを何度か繰り返して氷を作ります。 つまり、大量の原水の純粋な部分を集めて、一つの氷を製氷しているのです。

さて、もう一度、話題を空気に戻します。 エアレーションと水とり工程を行い、純粋で透明な氷が成長して、大きくなります。 しかし、最後にはパイプを抜かなければなりません。 このとき、パイプとその周囲のわずかな部分が水のままです。 当然、この部分にも溶け込んだ空気が封じ込められています。 パイプを抜くと、この部分はエアレーションをすることができないので、空気が閉じ込められて白くなります。 この部分が凍って、135kgの氷が完成致します。 つまり純氷の製氷でも、空気を完全に除去することはできないのです。 しかし、この部分はお客様の元には行きません。 なぜなら、角氷にカットすると、ノコギリの刃の厚みで、もうなくなってしまうのです。

 

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